金曜日に「ユルゲン・クロップ監督のロックダウン生活」という独占特集をお届けしたが、今回はその監督との楽しい対談の様子を拡大版スクリプトでどうぞ。

幅広い話題に至った楽しい会話の中で、ユルゲン・クロップ監督は、家族もいるこのロックダウン期間中にどのようにして自分の時間を確保しているのかを教えてくれた。

テレビ、音楽、そして最近始めた新しい趣味に至るまで、クロップ監督はサッカーから離れた生活についてもユニークな見解を示した。

また、ボスはここ数週間でかつての同級生たちからWhatsAppで送られてきた懐かしい写真も共有してくれた。

この特集のフルバージョン観るには以下の動画から、または拡大版スクリプトを読むにはこのページを下にスクロールして楽しむことができます。

ユルゲン、前回のインタビューでは映画『Taken』シリーズを観たと言っていましたね。前回のインタビュー以降、何か新しい映画は観ましたか?

サポーターの皆さんもたぶん好きなんじゃないかな、どうかなと思うんだけど、『ダウントン・アビー』を観たよ。とても良かった。テレビは夜しか見ないけど、ゲームなどの他にできるようなことはないよね?かなりの数を観たよ。昨夜は『イカロス』を遅くまで観ていた。とても面白かった。でも、マーベル作品の映画は最近まで観たことがなかった。この前観たのは『アイアンマン』などだね、こういうのも面白かった。こういう映画は深く考える必要がないんだ。1日かけてすべてのニュースを見続けることはできないから、こういうエンターテイメントを単に観ている。膨大な数のニュースを常に知っていても意味がない。何か良い方向へ事が動くのを待ってからニュースも見るようにしている。私は常に情報収集しているが、人間として良いニュースと悪いニュースのバランスが必要だから、誰かが発することすべてを耳にしたくはないね。そうならない限りは自分で少しずつ判断して、多少は自分自身の手助けにしないといけない。

映画やテレビ番組で好きなジャンルはありますか?

それなら絶対にアクションだね。アクションが好きなんだ。前回言ったような『Taken』シリーズとか『ボーン』シリーズとか、もちろん『ミッション: インポッシブル』とか、そういう系のものは全部好きだ。本当にテンポ速いというか、短時間のうちに様々なことが起こるような映画だね。でも他の映画も観るよ。ええと、『Out of Africa (邦題:愛と哀しみの果て)』だったかな?ロバート・レッドフォード主演の古い映画だと思うんだけど、それまで観たことがなかったんだ。でも、妻が以前に観たことがあって、また観たいと言ったから一緒に観たんだ。ストーリーも良かったね。私は何か一つのジャンルに固執しているわけではないよ。普段から映画が好きで、好きな映画は『ウォーターボーイ』と、『Dumb and Dumber(邦題:ジム・キャリーはMr.ダマー)』。これは本当にくだらない映画なんだ。あとは『Happy Gilmore(邦題:俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル)』だね。だ私は一人ではないのだけど、ひとつ問題があって、私が大声でずっと笑うから一緒に映画を見ている人は皆、ちょっとイライラしたり、観るのをじゃまされたりして、次のジョークが何なのか分からなくなってしまうんだ。私と一緒にコメディを観ることはおすすめしないけど、私はコメディが好きで、時々コメディ映画を観ているんよ。

監督はどのようなタイプの視聴者ですか?アクション映画やドラマの結末を予想するようなことはしますか?

そのようなことはしないね。犯罪映画を観るときは、その作品入り込んで犯人が誰なのかを知りたいと思う。だけど私が子どもの頃はよく姉にいじわるされていたね。5分後に「この人があの男の人を殺したんだと思う」って言っても、姉は「本当に?本当にそう思うの?」って言ってきたんだ。こういうのは好きではなかった。私は待つことができる人だし、映画の途中であれこれ言うようなことはしない。良い映画というのは心の休日みたいなものだ。良い映画だと他のことは考えられなくなから、スマートフォンは要らないし電話に出なくなるんだ。そんな映画に出会えたならそれは本当に良い映画なんだ。そういうことを私は楽しんでいるよ。

先ほど『ダウントン・アビー』を挙げましたが、他に観ているテレビ番組はありますか?

思い出せないことが多すぎるんだ。誰かに「その映画、もう一ヶ月か二ヶ月前に見たでしょう」って言われて「本当に?そうだっけ?」ってなることもあるよ。だから私は同じ映画を何度も楽しめるよ!よくわからないし、よく覚えてもいない。今は家族と一緒に暮らしているし、長男も一緒にいる。長男は都市封鎖が始まったときからこの家にいたから、まだここにいないといけない。毎晩、家族でリモコンの操作権を交代制にして、何を観るか決めるんだ。私がリモコンを持てるときはいつもアクションかドキュメンタリーだね。家族にはそれぞれ自分お気に入りがあるけど、他の人のお気に入りはテレビのスイッチを切った瞬間に忘れてしまうからまた観ることができるんだ。

最近『Tiger King』というドキュメンタリー映画で話題が持ちきりですが、監督はもうご覧になりましたか?

まだ観ていないよ。でも読んだことはある。正直それを観たいかはなんとも言えないし、どうしてみんながそういう映画を観たがるのか理解できないけど、おそらくいつかのタイミングで見始めることになって話題になった理由もわかるだろうね。

日曜日の夜にはイギリス国内でリヴァプールの4試合分の再放送がありました。監督はご覧になりましたか?

ああ、最初の2試合を観て鳥肌が立ったね。先週、私にある種の閃きが降りてきたんだ。「閃き」が正しい単語かはわからないけど、私の中に火がついたような気がした。だから選手たちのグループに動画を送った。チャンピオンズリーグ後のトロフィー授与式の動画がYouTubeのリストに出てきたから見始めたんだ。3、4分の動画だ。その動画を「Still true」という短い言葉といっしょにグループに送った。さらに、私はそこでこれまでに素晴らしい試合を経験してきたこと、そしてそれがバルセロナ戦や、ホームでのマンチェスター・シティ戦、アウェイのレスター・シティ戦、そしてホームでのマンチェスター・ユナイテッドとの試合であることを伝えたんだ。素晴らしい試合は、動画では2分半とか3分ほどに収められているけれども、これまでに本当にたくさんあった。選手たちには「みんな、去年やこれまでの試合からお気に入りの試合動画を送ってくれ」と言った。たくさん良い動画が送られてきた。彼らは移動中に撮ったであろう自身の動画をたくさん送ってくれた。選手たちは本当に楽しんでいて、同時にそのような試合を楽しみにしているようだった。良いことだ。私はバルセロナ戦のハイライトを観た。ドルトムントとの試合も素晴らしかった。雰囲気や試合そのものに本当に鳥肌が立ったよ。正直、ドルトムントにチャンスは多かったけど我々はうまくやってやったんだ!相手に許してしまったゴールはいただけないけれどもね。最終ラインが下がりすぎて時もあり、あれは危険すぎた。ただそれでも、日曜日の夜は本当に楽しませてもらったよ。

ほかに日曜日の夜に観ていた人もいたと思います。アンドリュー・ロバートソン選手が自身のインスタグラムに投稿していました。選手たちから再放送についてのコメントはありましたか?

ああ、バルセロナ戦のハーフタイムに「何かがうまくいってない。変化を加えないと!」というのがあったね。私が正しければ、おそらくロボが送ったのだと思う。それから怒っていたジニが投入された。もちろん周りに雑音はあったけど、それは良いことなんだ。いつも一緒にいる気がするし、正直あのときは特にそう感じるだろう。良いことだ。同じ瞬間に同じことをするのは最高なことだし、別の次元で繋がっている。

話の中でYouTubeが出てきましたが、主にリヴァプール関連の動画を見ているのでしょうか、それとも何かサポーターにお勧めしたいものはありますか?

音楽を少しだね。YouTube上でほかのトップシンガーとコラボして、良いものを発信している歌手もいる。それが好きだ。現状は良いことばかりとは言えないけれども、もちろん、良いこともあるし、これまで時間がなくてできなかった違うことにも時間を割ける。そのようなことを始めるのは良いことだ。普段は自分の携帯でサッカー関係のものしかYouTubeで観ないが、最近だとよくあることだけど、ほかのものも観るようになったね。今では以前できなかったようなことにも時間を使える。今では様々な新しいことを学んでいる。今後に活かせると思うが、歌を歌うことだけはできなさそうだ。

どの歌手の動画をご覧になりましたか?

名前は忘れちゃった!スティングはほかの有名なミュージシャンと一緒に良い感じのセッションをしていたよ。あとは良い組み合わせでは、父親と娘の2人組は両方とも素晴らしい歌声だった。一度そのミュージシャンの動画を見つけたら、次の日にはほかの動画も出てくるからすぐに見つけられるはずさ。本当に良かったし、楽しめたよ。こういうので今は休日を過ごしている。読書とか、オーディオブックみたいなものとか、どれも楽しいよ。どれくらいまた読みたくなるかはわからないし、世界で一番の本でもないかもしれないけど、ダン・ブラウンの『Meteor』は出版されたときは読まなかったけど、この前一瞬で読んでしまったよ。そんな感じだね。

新しいスキル身につけることに関連して、監督は家で他のこともいくつか習得したと聞きました。何を身につけたのか教えてくれますか。

非常に難しいチャレンジだった。前回のインタビューで言ったかわからないけど、今は皿洗い当番をしているんだ。実際に良いことだし、楽しんでいる。今や私はあの小さなマシン・マスターだ。それに初めてスクランブルエッグを作ったんだ。妻のウラはスクランブルエッグには感動していたけど、ほかのものは作ってほしくないらしく、それ以来私の出番がないんだ。特別お願いするつもりはないけどね。だけど来週は別のチャレンジをするよ。もう52歳なのにネクタイを結べないんだ。息子のデニスと一緒にネクタイの結び方を勉強するんだ。今週が終わる頃にはできるようになっているはずさ。今となっては私の手は器用に動かないから練習には1週間丸々必要だろうね。おもしろくなりそうだよ。

料理をしようと思ったきっかけは何ですか?

食べることだね!今ほど食べることを考えた時期はなかったからね。食べるものについて考えてしまうんだ。考える必要はないけど、そうしてしまう。普段は食べ物を意識しているときに食べることが多いから、食べ物が常にあるメルウッドで一日中過ごしている日なんかはお腹が空いたときに食べに行く。それも良いが、お湯を沸かすこととは別に、少なくとも私が好きなスクランブルエッグくらいはできるようにしておきたいと思ってチャレンジしたんだ。ロックダウンがどれくらい続くかにもよるけれども、できそうな料理はまた作ってみるよ。

ランニングは新しい趣味ですか?それとも以前からの趣味ですか?

私は33歳で現役を引退した。そして一晩のうちに監督になった。最初の半年くらいは、まだまだ若くてほとんど選手みたいなものだったからランニングに参加していたんだけど、そのうち忘れてしまって、ランニングをやめてしまったんだ。ランニングマシンで走り始めたんだ。数年前にランニングに出たら年を取ったせいか膝が痛くなることに気付いたからね。だからランニングマシンで走ってみて、とても効果があったんだけど、あまりにもつまらなかったんだ。だから今は外へ出て一度走ってみたんだ。とても楽しかったよ。ロックダウンではあるものの、運動のための外出は許されているよね。だからほぼ毎日走って、だんだん良くなっているんだ!タイムも更新している。多分今日中には届くと思うんだけど、ランニング・ウォッチも注文したんだ。いろいろなことを楽しんでいる。我が家は本当にいいところに住んでいるんだけど、この時期に、ほんの1時間でもランニングに出かけることが許されていなかったならばすごく寂しく思っただろうね。

最後に、このロックダウン中に多くの人がしていることは、古い写真を見返して昔の思い出を思い出すことです。監督も昔の写真を振り返る機会はありましたか?

そうだね。正直にいうと、今私たちが置かれている状況では、ソーシャル・ディスタンシングはおそらく今年を象徴する言葉になるだろうね。だけど今、私はしばらく話す機会のなかった人たちとまた連絡を取り始めているんだ。自分が普段していることを私は気に入っているし、自分の仕事も大好きだ。だが、どのWhatsAppグループにおいても、絵文字が1番お気に入りの返信方法かな。これまではメッセージを読んでも、夜に家にいる時も、長い返信をする時間がないんだ。常に携帯を手に持っていて、他の人からの連絡に応えたり、私からも誰かに連絡しなければいけなかったから。今ではそれにどっぷりハマっているし、友人も私が本当に積極的で驚いているよ。昔のクラスメートとのチャットグループがあるんだ。同じクラスだったいとこが赤ちゃんの頃の写真をシェアして、私もクラスメートたちに写真がないか聞いてみたんだ。そしたらたくさん送ってきたよ。その日は本当に良い1日になったね。大笑いしていたし、素敵な思い出も振り返ることができたよ。友人と懐かしい話をするのはいいよね。

サポーターに向けていくつか写真を公開してもよいですか?

別に問題はないよ。若い頃の私はクレイジーで、おかしくて、もしかしたら今の私もそうだって言う人がいるかもしれないね。だけど気にしないよ。その様子も写真で見ることができると思うよ。他の人に見せてもいいよ。私は構わない。誰かにとってきっと大笑いのネタになるはずだ。大変なときに、誰かが私の写真で笑ってくれたら、それほど嬉しいことはないね。

写真:誰も見たことがないユルゲン・クロップ監督!