トレント・アレクサンダー=アーノルド選手が若い年齢で成し遂げた業績に伴い、66番は人気の背番号となったが、リヴァプール出身の彼はなぜ66番を着用するのか?

その答えは、66番が個人的な意味を持っているからでも、試合中に目立つために選んだからでもない。

その代わり、それは誰かが仕事の中で比較的一般的なタスクを実行した結果だった。

クラブのユニフォーム管理を担当するリー・ラドクリフさんが、なぜアレクサンダー=アーノルド選手と彼の若い多くのファンがリヴァプールの66番を着ているのかの教えてくれた。

アレクサンダー=アーノルド選手が6歳のころから過ごしたカークビー・アカデミーからメルウッドにやってきた時、ラドクリフさんは、これからの数年間で彼の日常の行動にどのような影響がもたらされるのか何も予想できていなかった。

「普段、アカデミーから若い選手が加入してきたとき、私たちは意図的に数の大きい番号を与えるようにしている」とラドクリフさんはLiverpoolfc.com.に説明した。

「私たちは、彼らがもうすでに成功したと考えてしまわないよう、早い番号を与えません」

「その時空いている番号で、『彼は加入したばかりだからこの番号をもらったんだな』と誰もが思う番号を選ぶんだ」

「66番をつけた彼がトロフィーを掲げ喜んでいる姿を見ると、不思議な感情になり、それをうまく説明することができない。そのような数の大きい番号をそういった場面で目にしたり、誰かがその番号を気に入っているのを見たりするのは不思議なことだね」

「トレントのような人は、ファーストチームでプレーできることそのものに幸せを感じており、自分がどれほど優れているかについて明らかに気づいていないよ。正直に言うと、彼らは本当に何も求めてこないんだ」

「彼はのんびりしていると思うよ。あの番号が与えられて、そして『そうだ。これが僕の番号だ。この番号を使い続けよう』と思ったんだろうね。それがその後何年にもわたって彼のシンボルのような番号になることを知らずにね」

アレクサンダー=アーノルド選手のファーストチームデビューは、2015年、当時16歳の時で、スウィンドン・タウンとのプレシーズン中の親善試合だった。

その試合で彼は名前を伏せた背番号2のユニフォームを着ていた。だが、ファーストチームでの2度目の試合となった翌年夏のトレンメア・ローヴァーズとのアウェイ戦では、再び66番を身につけた。

彼らが言うように、そのあとはもう歴史的なものになっている。

ラドクリフさんはこのように続けた。「普段、加入して1年くらい経った頃にファーストチームに残っていたりトレーニングに加わったりしていたりする場合、若い背番号に変更したいか確認するんだ」

「でも、トレントは明らかにあの番号を気に入っている。彼が番号を変えるように求めてきたことは一度もないよ」

「最初のシーズンが終わり彼のパフォーマンスの素晴らしさを実感した時、私たちはいつも、『ああ背番号が変わる日はそう遠くないだろう』とよく言っていたけどね」

「私たちはいつも、『トレントが背番号の数を早い番号にしたがっている』という電話を受けた場合に備えて、そのためのトレーニングシャツとユニフォームをぎりぎりまで確保していた」

「そういったことは一度も起こらなかったし、彼は明らかにあの番号を使うのを嬉しく思っているね」

「今、あの番号は完全にトレントのものになり、すでにかなり象徴的な番号になっていると思うし、時が経ち、彼が試合をこなすにつれて、よりシンボルのようなものになると思う」

「この番号はスタッフだけでなく、ファンの心にもかなり馴染んでいると思う。なぜなら、彼はリヴァプール出身の選手だからね」

「『66番』を身につけたたくさんの子供たちが歩き回っているのを見て、実際に馴染んでいるのを見ると不思議に感じる。のちに私たちが背番号を与え、そしてその番号を次の選手へと受け渡していく選手も、かつてはこうして誰かの番号を身につけていた幼いファンの1人だった」

ラドクリフさんに、背番号変更を依頼する電話が来るかどうかは未だにわからない。

2月に行われた、Twitterでのファンとの質問コーナーで、アレクサンダー=アーノルド選手は、この先もずっとその番号を背負っていくかどうかについてまだわからないと述べた。

これまでに、右サイドバックは125試合に出場し、チャンピオンズリーグやFIFAクラブワールドカップ、そしてUEFAスーパーカップのタイトルを獲得している。

それでも、21歳のこの選手は、ウェストダービートレーニング施設のドアを静かに通り抜けた礼儀正しいあの頃のままだ。

「彼は素晴らしかった」と2011-12年に現在の役職に昇格したラドクリフさんは述べた。「トレントがメルウッドにやってきた時、彼の振る舞いは年齢からしても素晴らしいものだった」

「彼は本当にとても静かだった。ヘンドやチェンボなどの中心選手たちと一緒にいる時でも、彼は今でも静かに振る舞っていると思う。彼がそのグループにいる時、とても生き生きとしていて、それはいいことだね」

「主要メンバー以外にも、ベン・ウッドバーン選手と一緒にいる彼をまだ見る。彼はすれ違う時に『おはよう、リー」と言ってくる。彼は番号について何か言ってくることはないね」

「試合で、彼が長袖のユニフォームを着たい場合、彼はアンフィールドのキット・ルームにきて、『リー、長袖の上着もらえる?」と尋ねてくる」

「すべてが相変わらず彼らしくていいと思うよ」