ユルゲン・クロップ監督は、2得点を挙げてリヴァプールのFAカップ準々決勝進出に貢献した南野拓実選手について、「完璧なパフォーマンス」と称えた。

レッズの背番号18は、現地時間水曜日にアンフィールドで行われたノリッジ戦の前半だけで2度ゴールネットを揺らし、チームを準々決勝に導く活躍を見せた。

クロップ監督が出席した試合後の記者会見は、この日の南野選手のプレーや同選手の現在のコンディションについての話題で持ちきりだった。

その記者会見での指揮官のコメントは以下の通りだ。

次のラウンドへの進出を目指した今夜の試合の難しさについて

プレミアリーグのチームが相手ということもあり、タフな試合だった。先の日曜日に120分と40分のPK戦を戦っており、我々は10人のスタメン変更をしなければならなかった。メンタル面でもフィジカル面でも疲労がたまっていた状態での今夜の試合だったため、勝つためには変更を加える必要があった。我々が試合に入っていくには序盤の何分かが必要だった。ノリッジはリーグ戦でもしてきたように、ロングボールを蹴り込んでくるような戦い方をしてきた。だが、ある時間帯から我々がゲームをコントロールできるようになり、我々がするべき試合運びができるようになった。その試合運びとは、簡単にボールを捌き、シンプルにプレーすることで、相手を少しずつずらしていき、選手間のギャップやハーフスペースを作り出していくような戦い方だ。

そのあたりから我々はノリッジに問題を起こすことができるようになった。良いシーンもいくつかあり、2つの素晴らしいゴールが生まれた。後半もほとんど同じように、早々に追加点を奪い、試合をクローズさせるべきだったが、それはできなかった。一瞬の隙を突かれ相手にゴールを許してしまい、勝つためにプレーしなければならなかった。そういうことを我々はやって、それは問題なかった。タフな試合で、もともとそうなることを予想していたため10人のフレッシュな選手を送り込んだ。それは良かったよ。

出場機会を活かしている南野選手について

彼(南野選手)の印象ははっきりしていて、2得点を決めたというだけでなく、フットボールとしても何度も素晴らしい瞬間を見ることができた。常に相手の脅威となり、いたるところに顔を出しては素早くプレーしていた。彼は技術面では信じられないほど高いレベルにあるよ。今日は風が強く吹くなかでの試合だったが、ハイボールを受けるときのボールのコントロールは、どれも本当に良かった。私は彼の良さを知っているから特に驚きはなかったし、またしても彼が自分の良さを観客の皆さんに披露してくれたのは全くもって素晴らしいことだよ。

今夜のノリッジ戦が南野選手のレッズ加入後におけるベストゲームであるかについて

おそらくそうだね。今夜は並外れて素晴らしいゲームだったのは間違いない。彼は身体のキレが十分にあったように見えたし、彼自身の持っているものをすべて出せたのではないかと思うし、今夜はそれを大勢の人々に示すことができた。本当に完璧なパフォーマンスだった。2得点ともに素晴らしかったが、それ以外の面でも彼はトップクラスだった。本当に良かったよ。

南野選手が示している強い意志について

間違いないことだ。彼は全てを示しているし、それを内に持っている。それはつまり、なぜ彼が我々の選手であるかということでもある。タキ(南野拓実選手)は新型コロナウイルスが猛威をふるっている難しい時期に加入し、スタジアムにサポーターはいなかったうえに、普通は良いフットボールのチームに入れば多くの課題が待ち受けている。良い時期を過ごし、本当に良いプレーをしても、彼には時間が必要だったが、今となってはまさしく彼の能力的にピークを迎えているように思える。彼がそれを見せてくれることに私は本当に嬉しく思うよ。世界にはタキの現状よりも難しい状況があるのは明らかではあるものの、そのような難しい状況に身を置くのは簡単なことではない。だが、彼の性格は最高で、それはつまり私が出場機会を与えて、トップレベルのプレーを見せてくれるときは彼が必要とされているということなんだ。私は本当に嬉しく思っているよ。

これまでに南野選手がクラブを離れる可能性があったかどうかについて

いや、それについて考えたことはない。彼自身もそういうことを考えたことはないと私は思う。だからノーだ。

選手のステップアップの重要性と、それが今季のテーマであることについて

それが理由だ。このようなメンタリティーと特徴がチームにあるからこそ、今の状況があるんだ。例えば、カーティス・ジョーンズは今夜、素晴らしいプレーをしてくれた。ジョー・ゴメスは、彼のクオリティについては説明するまでもないが、今夜もその質の高いプレーを見せてくれた。こういった要素が長期的に成功するために必要だ。今年はどうなるかわからないが、長期的に見ればこのようなクオリティのある選手が必要なんだ。選手たちは準備を整えておかなければならない。お互いにポジション争いをするわけではないが、ベストの状態で臨むことができれば、週末の試合でメンバー入りするチャンスは十分にある。ただ、その保証はない。つまり、そのチャンスを掴むまで、何度もトライして、良い姿を見せなければならない。それがこの選手たちがこれまでにやってきたことなんだ。

南野選手がカラバオカップ決勝で出場機会を得られなかったことに対する同選手の悔しさと、それが今夜の試合に向けたモチベーションに繋がったかについて

それは間違いなく残念だっただろう。それは私も想像できる。彼にそのことを話してはいない。私は試合のスターティングメンバーを決めなければならず、難しい決断だった。実を言うと、私の決断は、ある選手のために決断するものであるから、とてもポジティブなものではあるが、他の選手にとっては自分が出場できないということになり、その選手にとって良いことではないだろう。でも、タキはどうかというと、今夜のプレーが良かったのはそういう(カラバオカップ決勝で出場できなかったという)理由ではないと思っている。彼は怒ったりするような人ではない。これが彼の置かれている状況なんだ。この前の日曜日のメンバーは、最終的に試合に勝てたという観点では正しい判断だったと思う。私の決断はいつも我々が手にする結果によってテストされるものであって、選手たちは努力をつづけるしかないんだ。

私にとってリヴァプールFCの選手であることは、到達しうる最高の場所だ。コンスタントにプレーできていたのに、決勝戦に出場するチャンスがなかった、あるいは他の決勝戦にも出場するチャンスがなかったというのは、それほど簡単なことないかもしれないし、準優勝の称号を獲得するチャンスさえないという状況にもうまく対処しなければならないからだ。それは選手たちが決断しなければならないことだ。でも、チャンスは必ずやってくるし、そのチャンスを生かすことができれば、その一員になれるから、扉はいつも開いている。タキはカラバオカップで大きな役割を果たした。決勝でプレーできなかったことは、その瞬間は残念だったかもしれないが、長い目で見れば、リヴァプールでカラバオカップを勝ち取ったことは、本当に良いことだと思うよ。