ジョーダン・ヘンダーソン選手は'You'll Never Walk Alone'の曲の精神を体現することで、コロナウイルスの感染が拡大するでもお互いに支え合う"絶好の機会"になると信じている。

ビデオを使ったLiverpoolfc.comとのインタビューの中で、リヴァプールのキャプテンは現在の試合延期に伴いフットボールをできないことに寂しさを覚えていると語った。しかし、同時に現在のこの世界においてはフットボールよりもはるかに大事なことがあると強調した。

ヘンダーソン選手はこの期間にリヴァプールのメンバーがどのように連絡を取り合っているのかについて、また、安全が確認されて実戦に復帰する際にフィジカル面で万全の状態であるためのステップについても教えてくれた。

主将との独占インタビューは以下のビデオからご覧ください。またインタビューの全スクリプトは以下からどうぞ。

少し普段とは違った形でのインタビューになってしまいましたが、世界中のみなさんにとって今のところはごく普通の時間です。この期間はヘンダーソン選手にとって、どれほど難しいものとなっていますか?フットボール選手としてではなく、父親や夫としてはいかがですか?

そうだね、大変だよ。非常に困るときもある。特に3人の子どもが家中を走り回っているときはね!だけども同時に贅沢な状況にいるとも思う。庭付きのすてきな家で過ごすことができ、子どもたちが家と庭を行ったり来たりしては遊んでいるという意味ではね。多くの人々がそのような贅沢な状況にはないということは理解している。これは大変な時期だが、同時に自分は特別な環境にいるということを実感している。僕は妻と子どもたちに囲まれていて、少し気が楽だよ。だが僕よりも悪い状態のあって苦しんでいる方がいるんだ。僕はそのような方たちにお見舞いの言葉を送りたい。あらゆることを考慮に入れないといけないときだね。

フットボール選手としての精神とは常に、敗戦を喫したとき、またその次の試合に向けてどう対応するかということになるかと思います。しかし、今のように、より大きな問題に直面している時には、どのような仕事についているかに関わらず、そういった対応力は私たち全員が発揮している時時ではないかと思うのですが…

フットボールのことは今の段階では頭にはない。もちろん自分自身も他の選手たちもできるだけ早く戻りたいと思っているし、フットボールをしたくてうずうずしているよ。でも、それと同時に世界ではより大きな問題が深刻化していることもわかっている。僕たちは家族を支えるため、そして安全でいるためにベストを尽くさなければならないし、関係機関の要請に耳を傾けなければならない。こうした状況が近いうちに終わることを望んでいる。そして早いうちに皆がそれぞれの普段の生活に戻れるといいね。

フットボール選手として、このような期間はヘンダーソン選手にとってどのようなものになっていますか?

本当に難しい試練だよ。これまでの僕のキャリアで最も厳しかったのは明らかに怪我だったと言える。個人的なことでいえば、それが最も大変だった。しかし今回は怪我とは別物の難しさがある。ここ数週間は家族や子どもたちと過ごしているが、こうしたことはこれまでにはできなかった。だから、そういった面から、ポジティブな要素を見つけようとしている。毎日子どもたちと過ごす時間を楽しんでいるよ。学校の宿題を手伝ったり、僕が普段できないようなことをしたりしてね。できる限りのことをして楽しもうと心がけている。だけど皆はわかっていることだと思うけど、これが24時間毎日続いたら大変だね!でも、この状況を最大限楽しもうとしている。もちろん、この期間は長いこと続きそうだけど、出来るだけ前向きにかつ楽しもう。このような子どもたちや妻と過ごすことができるまとまった時間はこれまでになかったからね。

学校の先生や先生が毎日している仕事へのリスペクトが増したのではないですか?父親として家で子どもたちに勉強を教えてみてどうですか?

子どもたちには勉強面でサポートしているよ。実際のところ、それを楽しんでいる。子どもたちが学校から帰ってきて、皆が子どもたちを助けていたと思うけど、僕はそういったこととは縁がなかったからね。だけど毎日午前中に子どもたちのサポートするのは楽しいことだね。さっき言ったように、これほど子どもたちと過ごす機会はこれまでになかった。この期間を最大限に活用したい。

トレーニングに関しては、より工夫が必要になっていますが、どのように感じていますか?自分ひとりでトレーニンするとなると、普段とは違った環境になりますが…

確かに少し違うね!もちろん、クラブからはいくつかのメニューや、すべきことを与えられているし、やらなければいけないこともある。だけど、メニューを与えられて休暇中はそれに従って過ごす、そういう意味ではオフシーズンなんだ。僕たちのもとには生まれたばかりの赤ちゃんがいるけれど、毎日一緒に過ごすことができていなかった。今は実際に一緒に過ごすことができているよ。これまでは時間を作ることができても、外出して仕事をしなければならなかった。今のところは満足いくように過ごすことができていると感じる。

チームは非常に結束しており、WhatsAppのようなツールでも繋がっていると思いますが、現在のところどれほど活発に連絡を取り合っていますか?

大きな WhatsAppグループを作って、とても頻繁に動いているよ。皆で連絡を取り合っていて、いろんな動画や課題を投稿し合っている。普段なら毎日一緒にいて遠征の際も一緒にいるからね。だから、チームメイトとは頻繁に連絡をとり続けている。長い期間、特にシーズン中のこの時期にお互いに会うことがないのは少し違和感もある。だけどこれはオフシーズンとも似ていると言える。シーズン中であるという点では少し異なることではあるけど。現在、僕たちは各自の家にいて、他のことは何もできないでいる。それは不慣れなことだ。

このような大変な時期に、若い選手たちの士気を高めるためにコンタクトをとることを心がけていますか?

他の人、特に選手同士で連絡をとることは大事だと思う。違う方法で周囲と連絡をとっている人もいると思う。僕が連絡をとった何人かの選手は本当に難しい状況にいるに違いない。選手のほとんどには家族や子どもがいる。家族のおかげでこの期間の生活が楽にも、もしかしたらときどき大変にもなるかもね!だけど周りに家族や誰かがいればずっと楽になるだろう。一方で、ひとりで過ごしている場合は辛いかもしれない。だから僕はそのような選手とコンタクトをとっている。選手たちは問題ないようだけど、まだ数週間しか経っていない。もしかしたら、少なくとも数か月単位で続くかもしれない。

レッズが若いチームであることを忘れてしまう時があります。レッズの選手たちはプレミアリーグでもヨーロッパレベルでもトップを走る選手たちだと思いますが、中には故郷や家族と離れて暮らす若い選手もいます。

もう一度言うが、異国で暮らしている人は孤独を感じるかもしれない。だが選手たちはクラブの一員であり、メニューなども含めて全てにおいてサポートされている。僕たち選手はグループで取り組んだり、FaceTimeやチームのみんなが使える他のアプリを用いたりして合同セッションを行う頻度も多くなってくると思う。これからは各自と連絡を密にとっていきたいと思う。より大変さを感じている選手たちをサポートする助けになるはずだ。

 

現在起こっている困難は世界中の人々を結束させています。フードバンクの寄付などからも人々の素晴らしい一面を見ることができました。こうした機関の人々が、人として素晴らしい影響を世の中にもたらすことについてはいかがですか。

まさしくそうだね。皆が力を合わせる大事な時期だ。クラブレベルではなく国や世界中の皆にとってだ。皆が力を合わせて、要請を聞き入れ、ウイルスを撃退し、出来るだけ早くに日常を取り戻すことが大事だ。お互いに助け合う時期でもある。他のやり方もあると思う。特にNHSと彼らの働きに対する支援もそうだ。国全体からどれほどの支援を得られたか見ることができるはずだ。こうした感謝の示し方もまた重要なことだ。選手としては、また違ったことができるのではないかと考えている。フードバンクで取り組んできたことなどのように、みんなが手伝ってくれるはずだ。そして、他にもできることがあるはずだし、みんなでそれに取り組むよ。

フットボールについても話しましょう。気になっていることだと思います。この期間にフットボールについて考えるのは難しいことだと感じていますか?

フットボールが恋しいよ。フットボールが大好きだからね。だからこそプレーしている。外に出てトレーニングをしたいし、毎日フットボールがしたい。それらを突然奪われるのはつらいことだ。だがこの時期が終わったときには、より多くのことに感謝できると思うし、多くのことを当たり前だとは思わないようになるだろう。学ぶ時期でもあり、多くを得ることのできる時期でもある。これが終わるときにはより良い考え方ができるようになっているだろう。だが同時に、苦しんでいる人々が大勢いることも理解している。そうした人々にお見舞いの言葉を送りたい。一方で、自分たちにできることは指示をただ聞き入れて従うことだ。そして、すでに言ったようにこの事態が長引かないことを願うばかりだ。とりあえずはポジティブな状態を保ち、助け合い、互いに寄り添っていこう。ソーシャルメディアでもすでにこういった様子は目にしているけれど、とりわけNHS、そして彼らの働きに対して多くのサポートが送られている。何より大事なことは、フットボールはこの状況下ではささいなことだ。だから、まずはこの状況をなんとかしなければならない。時期がいつであれ、その後にようやく、フットボールについて話したり、楽しみに思い始めたりすることができる。

いつかはフットボールも再開されます。リヴァプールの選手たちで素晴らしい点は集中していることだと思います。どのような課題も自分のやり方に落とし込み、正面から向かっていきますよね。

大事なことだ。与えられた課題をこなし続け、トレーニングを続けている理由がそうだよ。復帰してトレーニングを始めて、すぐにでも試合で出ないといけないタイミングがいつかは来るからね。選手はみんな、各自のトレーニングをコツコツとこなしていて、安全が確認されてプレミアリーグが再開されたときには実戦復帰できるように準備を進めている。これが僕たちにできることだ。

ファンの皆さんにメッセージはありますか?ファンの皆さんも世界で何が起こっているかは知っていますが、ただリヴァプールというチームを恋しく思っています。

僕もファンのみんなが恋しいよ!僕から言えることは、もちろん、安全でいてほしいということだ。家にいて、政府や関係機関からのアドバイスに従ってほしい。そうすれば、望んでいるよりも速く状況は良くなるはずだ。家にこもらないといけない時期は長引くと思うし、大変なことだ。だけどポジティブでいるようにしよう。毎試合歌っている僕たちの曲の出番だ。You'll Never Walk Alone。まさにそのときじゃないか。ソーシャルメディアでは看護師の人たちがこの曲を歌ってくれているのを見た。このようなことが本当に力をくれる。今この状況では、ただ意味を噛み締めるだけではなく、人としてできる最良のことに活かしてほしい。だけど、まずは関係機関の指示に従って、できることから始めよう。出来るだけ早く事態が収束し、みんなが日常生活に戻れるよう願っている。そして、どんな未来が待ち受けているか期待して待っていよう。