ユルゲン・クロップ監督は、4-0で勝利した土曜日のアーセナル戦で途中出場した2人の選手の活躍を、プレーする「権利」を得ようとしている他の選手たちのお手本として紹介している。

南野拓実選手は77分、ファーストタッチでトレント・アレクサンダー=アーノルド選手のクロスを押し込み、ピッチに立ってすぐに4点目となる追加点を決めた。

その直後、タイラー・モートン選手が投入され、19歳でのプレミアリーグ初出場を果たした。同選手にとってはリーグカップでの2度の出場に加えてリーグ戦での出場となった。

クロップ監督は、自身による公式マッチデープログラムのコラムで次のように語っている。「現在、多くの選手が日々のトレーニングから、この素晴らしいチームでプレーする権利を得ようとしている。いくつでも例を挙げることはできるが、ここで私は南野拓実選手を取り上げようと思う」

「タキ(南野拓実選手)はこの週末、ピッチに立ってからわずか数十秒でゴールを決めた。あのとき、チーム内であれほど人気者のゴールスコアラーはこれまでにいなかったと約束できる。我々全員の反応を見ればよくわかると思う」

「これはもちろん、我々がひとりの人間として彼を愛しているからだ。彼はとても温かく、寛大な心の持ち主だ。しかし、我々にとって嬉しかったのは、その愛すべき人間性だけではなかった。それは、彼が日頃から見せてくれる態度と献身性があったからだ」

「彼は間違いなく、我々のスタンダードを構築する助けになっているひとりだ。彼がトレーニングで見せるレベルの高さは、いくら褒めても褒め足りない。どのセッションでも最大限の力を発揮してくれる。彼は監督にとっての理想像なんだ」

「(チームに)貢献する準備ができていることは、このグループの一員であるための必須条件だ。今シーズン、タキは他の選手とともにそのお手本であり、今後の我々にとって重要な資質を持った選手となるだろう」

「もう1人、週末のアーセナル戦で注目したいのは、タイラー・モートンだ。あの日のベンチには若さが溢れていたことは、サポーターの皆さんもご存知だろう。『寝る時間はとっくに過ぎているぞ』というジョークも耳にしたね。タイラーがピッチに入って、チアゴに抱きしめられていたのを見たときは、本当に感慨深いものがあった」

「タイラーは、このクラブにいる素晴らしい若手選手の象徴だ。アレックス・イングルソープをはじめとするアカデミーのスタッフが、彼をどれほど高く評価しているかは知っている。スタッフ陣の仕事ぶりは本当に素晴らしい」

「彼にこれ以上の期待は必要ない。だから私は、彼が試合で何を見せてくれる選手なのか、どんな選手なのか、そして今後どんな選手になるのかについての『ラブソング』を書くつもりはないよ。我々は彼のことをただ見守って、彼が自分のストーリーを自分で紡げばいいんだ。しかし、彼の人柄こそが、彼を特別な存在にしているよ」

「彼はプレミアリーグでの出場機会を獲得して、必然的に彼の後に続く若い選手たちのお手本となった。彼は、彼自身と彼の家族の誇りだ。今の彼がするべきことは、自分をここまで導いてくれた最高の人たちに寄り添い続けることだ。それが全てだ。つまり、トップチームでの1秒1秒を、学び、より良くなるための機会として活かすんだ」

クロップ監督の言葉を受けて、ジョーダン・ヘンダーソン選手も同じテーマでコラムを書いている。

 「選手として、常に準備をしておかなければならない」とキャプテンは語る。「メンバーが決まるまでは、いつスタメンの座を得られるか、あるいはサブとして出場する機会が訪れるかはわからない」

「どのような状況においても、正しいアプローチと姿勢をとることが重要だ。この点で、土曜日のアーセナル戦に出場したタキ・ミナミノ(南野拓実選手)は素晴らしいお手本を示したと思う」

「彼が投入されるときには、すでに試合の勝敗は決していたと多くの人が感じていたことに疑いの余地はないと思う。ただ、ウォームアップからウォームダウンまで、彼のすべてがトップクラスで、だからこそ投入後すぐにゴールを決めることができたのだと思う」

「彼はそのゴールに値するだけでなく、それを勝ち取ったんだ。彼が示したメンタリティは、先発するにせよ、ベンチ入りするにせよ、あるいはチームの一員であるにせよ、我々が常に求めているものだ」

「また、土曜日にベンチ入りしていたアカデミーの若い選手たちも同じだ。オーウェン・ベック、コナー・ブラッドリー、カイデ・ゴードンの3人も、良い結果を残したチームの一員として貢献してくれたことも忘れてはいけない」

「彼らは皆、自分たちを誇りに思うべきだ。この経験を活かして、数週間後、数か月後、あるいは数年後に、もっともっと多くのチャンスを掴めるようにしてあげたいと思う」

「そんな彼らにまず必要なことは、自分たちがこのチームでの地位を獲得したという事実を認識することだ。僕らが彼らのことが好きだから(その地位が)与えられたわけでも、監督やスタッフが好意で与えたわけでもない。何年にもわたって、彼らがトレーニングし、プレーし、自らを律することで得たものだ」

「この国の若い選手として同じ道を歩んできた者として、私は安心してこう言える。何かを掴もうとすることを止めてはならない。いろいろな意味で、ハードワークは始まったばかりだと」